アーリーリタイヤを果たした元自衛官 佐藤一彦さん

これから大家さんになって自分の夢を実現したいという人の力になったり励みにしてもらえるように、先輩の大家さんの声をお届けする「先輩大家さんインタビュー」
本日のゲストは、佐藤一彦さんにお越しいただきました。
佐藤一彦さんプロフィール
佐藤一彦(さとう・かずひこ) ビリオネアクラブ主宰者。投資家。経営者。 1975年生まれ。秋田大学を卒業後、2か月間の警視庁勤務を経て海上自衛隊へ幹部候補生として入隊。日本全国の基地へ着任し、ソマリアの危機には一番艇に乗って最前線で任務を遂行した。 2011年の東日本大震災でも即刻任務に就き、復興活動に貢献。しかし、公務員の安定的な暮らしより、家族や自分の人生を優先するために退職を決断。不動産投資を始め、わずか2年で3棟のアパートオーナーとなり、2013年に早期リタイアを果たした。 現在は国内不動産以外に海外の金融商品も運用しつつ、主宰するビリオネアクラブを通じて投資に関するノウハウや哲学を発信している。
著書:「年収500万円以上」の人が豊かなまま早期リタイアを果たす実践マニュアル
著書:ビリオネア思考
この記事の目次
自衛隊に所属しながら不動産投資を開始
|―佐藤さんの経歴と不動産投資の経験を教えていただけますでしょうか?
当時、自衛隊に所属しながら不動産投資を始めました。
最初はなかなか物件が買えずに、東京のほうに転勤したタイミングで2棟買いました。そのうち1棟は現金で買って、キャッシュフロー的には自分が目標とする金額を大体達成できました。
自衛隊を辞めた後にもう1棟買ったら、そんなに裕福な生活はできないけれども、倹約しながら生活をしていける形になりました。
仕事を辞めて、ずっと物件を探し続けて4カ月後ぐらいにもう1棟を現金で買い、ようやく家族を養っていけるぐらいのレベルになったかなと思います。
その後、投資家さんに対していろいろな投資商品や不動産投資のノウハウを提供するビリオネアクラブという組織を運営するようになると、忙しくてなかなか物件を買うことができなくなりました。
ただ、昔から付き合っている不動産業者さんとか、登録していた不動産サイトから物件情報が来るようになっていたので、物件が欲しいタイミングで見るようにしていたら、自分の土台に乗る物件が結構あって、それをいろいろなやり方で自分の買える価格帯に落とし込み、1年に1棟ペースで2棟買い、計5棟44室買いました。
不動産投資というものがあること自体よく分かりませんでした
|―佐藤さんは自衛隊員をやっていながら不動産投資を始められたのですけれども、不動産投資をやってみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
職業柄、投資という話を職場の中で耳にすることはありませんでした。後になってから隠れてやっている人が意外に多かったと感じましたが、最初はそもそも不動産投資というものがあること自体よく分かりませんでした。
ただ一つ思いがあって、自衛隊の職場環境はかなり特殊で、特に私は海上自衛官だったので、船に乗ると2~3週間帰ってこれないし、1年半から2年おきに転勤があり、家族と過ごすこともなかなかできない状況だったんです。自分の人生を見つめ直したときに、「これって幸せなのだろうか」と考えた時があって、「こういう生き方は自分にそぐわない、家族や自分の人生をもっと大事にしたい」という思いが湧いてきました。
ちょうど7年ぐらい前でした。どういうやり方があるのかいろいろ探し、まずは本屋さんや図書館に行き、はじめに目を付けたのが株でした。投資の中では株はよく話を聞くのでやってみましたけれども、やはりそんなに簡単なものではなく、仕事をやりながら腰を据えてやるというのは結構厳しく、情報を持っている者とか、いろいろなスキームを持っている人は稼げると思いますが、そういう情報網を持っていない、本で得た知識しかない状況では、稼げるわけがないのです。
株はちょっと違うし、じゃあ別な仕事を探すかというと、自衛隊に所属してから13~14年になっていて、辞めるという決意もできませんでした。
自衛隊に勤務しながらできるやり方を考えていた中で、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん、貧乏父さん』を読み、不動産投資という世界があることを知りました。
そこから不動産投資を勉強しはじめ、図書館の本を全部借り、それだけじゃ足りず本を買いまくって読んでいました。セミナーというものがあることも分かってはいましたが、すぐにセミナーに行けるような環境下にはなかったので、とりあえず本ばかり読んで自分の中で知識を構築していきました。やがて、「不動産という世界である程度やっていけるんじゃないか」と思えるようになり、じゃあどういう形でやっていくかということを自分の中でまとめられるようになったんです。
本に書いてあることが自分に合うか合わないかということもだんだん分かってきた、そこで、物件を買うための方法とか、買った後の方法をエクセルにまとめてリスト化して、買う段階になったらこういう形ですすめようと準備していました。
当時は青森に勤務しておりました。すぐに不動産投資をやりたかったので青森で物件を購入するという話もありましたけれども、その選択肢は選びませんでした。
やっぱり将来自分がどうなりたいかを見据えたんですね。妻の両親が埼玉に住んでいるので、そこで暮らしながら大家さんをやるというのが自分の想い描く将来像でした。青森で1棟目を買ってすぐ転勤してしまうと、その後の客付けもしづらいし、仕事を辞めた後もそこをずっと管理していかなければいけません。初めてということもあったので、青森で1棟目を買うという選択肢は出なかったですね。
副業禁止のリスクをいかに回避したか
|―自衛隊は国家公務員になります。公務員というと一般的には副業禁止規定があると思うのですが、そのあたりはどうやって乗り越え、解消したのでしょうか?
人事院規則には、以下の条件の下、報告義務が発生すると規定されています。
・独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上である場合
・独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上である場合
・不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額が年額500万円以上である場合
その規定の中で自分はどうやるかという話になったときに、そのまま黙って報告せずにやるという選択肢と、正直に申告して不動産をやるという選択肢があります。あとは事業的規模にならなければ報告しなくていいという考えの元でやる方法もあります。
私は階級とか職場の状況から、周りに相談することができなかったこともあり、事業的規模にならない範囲でおこなうことを選びました。中には確定申告の際に誤って職場に連絡が行ってしまったケースもあると聞いていたので、万一そういったことになっても、将来的に両親にあげることを見据えながら買っているもので、自分の収益のためではないこと、事業規模にもなっていないことなどを説明できるレベルにしておくことが安心だと思いました。
事業的規模にならない範囲で自分で1棟目を買って、2棟目は妻に買わせました。法人を立てればよかったのかもしれないですけれども、税務申告のための税理士さんへの報酬とか、法人住民税などのデメリットを考えると、法人を立てるまでもないだろうと考えました。
3棟目については自衛隊を辞めた後で、税金のことを考えて自分で買ったという形ですね。
――事業性にならない範囲内で正しく取り組んだということですね。
そうですね。もし表面化した場合でも、何とか理論武装できるような範疇にしておきました。でも、自衛隊を辞めた後に分かったことですが、公務員の方でも事業的規模でやられているケースもあることをちらほらと聞きました。
中には悪質なものもあって、税金逃れのために他のエリアにわざわざ法人を作り、それがバレて戒告までいった人もいます。そういうことは絶対にしないように、注意すべきだと思います。
私はいろいろな諸事情で家族から融資の同意を得られず、現役時代に買い進めていくというのは厳しかったので、事業的規模でやる必要性がなかったというか、事業的規模のレベルには至らなかったのです。だから現金買いという別の方法で対応しようとしました。
不動産投資で生活できる現実的イメージ
|―不動産投資を始められて、どのような変化があったのでしょうか。金銭的な部分や心境的な部分で、やる前とやった後の変化を教えていただけますでしょうか。
不動産投資を始めた直後は、仕事を辞めて家族と過ごす自分の時間を大切にしたいということを突き詰めて考えていたので、キャッシュフローはすべて次の物件を買うための原資にしていたんです。
倹約生活は、7年ぐらい前から続けていますけれども、物件を買ってキャッシュフローが貯まってきていても、全部貯金に回していたので、生活自体は変わりませんでした。
ただ、通帳を見ればキャッシュフローが貯まってくるのが分かり、「仕事を辞めても不動産投資に力を注いでいけば生活ができる」という現実的なイメージを抱けるようになりましたね。実際、仕事を辞めた直後は、貯めたお金でまた次の物件を買うということを繰り返そうと思っていましたので、それが安定的にできるようになりました。
私の場合、5棟持っているうちの2棟は現金で買ったので、不動産投資に特化してやっていけば飛ぶことはまずないだろうという確信と、不動産収入だけでやっていけるという自信がありました。だから仕事を辞める前に自分がいくら欲しいのかを、自分の目標を見据えながら固めていったほうがいいと思いますね。
銀行から高い金利で融資を受けて物件を取得した人の中には、キャッシュフローが一時的に貯まったところで仕事を辞めてしまったけれども、一気に空室が発生し、金利で食われてしまって、また仕事をやり始めたという人もいます。そうならないように目標を考えたほうがいいのかなと思っております。
家族からの理解が・・・
|―自分の安定的な目標と、辞めた後のことをいかに考えながらやっていくかというのが大前提ということですね。不動産投資を始められて苦労したことを教えていただけますか?
不動産投資を始める時、国家公務員ということもあり、家族からの理解を得られませんでした。借金までして、どうしてそういうものを買う必要があるのかと。家族のためであり自分のためになんだという話をして、理解してもらうつもりだったのですが、借金をするということについては理解を得られませんでした。
毎月の支払いが滞ったらどうするのか、空室を作らず埋め続けられるのか・・・家族としてはリスクを取りたくないのは当然で、借金をするのは理解できないということでした。家族のために不動産投資をするとか言っておきながら、家族が嫌がるやり方をしていては、結局理解を得られないわけです。そこの理解の部分が大切なので、それならば1棟目は現金で買う方法はないのかと追求したのです。
それと、大家が現地に行かないといけない場面があると思うので、関東にある物件に限定して探しました。管理会社に任せられるとは言っても、大家が裁量できる範囲を残しておきたかったです。管理会社の担当が辞めたらどうなるのか、管理会社自体が倒産して、別の管理会社に移ったら空室が埋めづらくなるというリスクも考えられます。
家賃を下げるしか方法がないというリスクはできるだけ取りたくないので、埋めづらくなったら管理会社や客付業者を回って協力を得たり、現場を回ってヒアリングして、リフォームの提案をしたりしなければいけません。そういうことは大家自身が行なわないといけないと考えます。
関東で現金買いということを追求していくと、買える物件は中古のアパートになってくるんですよね。ところが、指値を入れて買おうとしてもなかなか指値が通らなかったんですよ。
当時、結構利回りの高いものもあった時代ですけれども、買うことができないというのが繰り返されました。諦めずに3年ぐらい努力したんですけれども、ちょっとこのままじゃまずいなぁと思うようになり、そもそもスタートしてみる、始めてみるという部分も大事だろうと感じるようになりました。
現金で中古を買うというのは一つの方法としてはありだけれども、それが1棟目である必要はないだろうということで、新築物件に目をつけはじめたんです。最初からプランニングされたものを購入すれば、わざわざ土地から仕入れて設計士さんとミーティングを重ねてという手間も省けますし、新築だと銀行も貸してくれやすいという融資の面でのメリットもあります。
しかし新築ということになると、融資を引かなければいけません。妻に話をしたら、新築だったら埋めやすいだろうというイメージを持ってくれていて、3年ぐらい一生懸命努力をしたけれども買えなかったという姿も踏まえて、1棟だけだったら融資で買ってもいいということになり、融資を認めてもらえました。
けれども、30余年の融資を引いて利回り10%以上でキャッシュフローが残りやすい物件を買ったといっても、やっぱり仕事を辞めるぐらいのキャッシュフローっていうのは全然なんですよね。
だから、販売業者さんが提案してくれた標準プランで外せるものは外し、価格帯を下げられるだけ下げる努力をしてキャッシュを残るようにしました。1Kのものをドアを外してワンルームにすれば、1室だいたい3万円ぐらい安くなりました。6室あれば18万ぐらい安くできます。あとは下駄箱もそもそも狭いから要らないし、必要性を感じたらホームセンターへ行けば、もっとオシャレなやつが買えます。
こうして下げるだけ下げる努力をして、キャッシュを残るようにしました。出てきたキャッシュフローを使わずに貯めて、半年後ぐらいに中古の物件を購入しました。
また、赴任先が東京になったおかげで、物件を見に行くのも動きやすくなりました。これまでは物件を見に行くのも、部隊に不測の事態が起きたときに対応できるように、誰かに頼んだりとかしなければいけなかったのですが、都内に勤務になってからは、土日に物件を見に行きやすくなりましたので、買いやすくなりました。
買いたいと思う物件から遠隔地にいたため、なかなか買えずに苦労をしましたが、そこで妥協したり目標がブレたりすることがなかったから、今は仕事らしい仕事をしていないけれども、生活ができるのだと思っています。今だったら、北海道とか福岡などの遠隔地に物件を持っていても、どうにかやりようはあるかなというイメージは持てるようになりました。
―やはり経験を積むと、ある程度は遠隔でもやれるということですね。
空室を埋めるには三位一体のバランス
|―佐藤さんは著書のほうで、7室中5室が空室だったのを6カ月で埋めたと書かれています。どういった形で埋めていかれたのか、そのあたりを教えてください。
空室を埋めるには、管理会社さんの管理能力、客付能力によるところが大きいとは思いますが、物件力と初期費用を含めた価格の三位一体のバランスが取れたところで決まると私は思っています。
例えば家賃がいくら安くても、本当にゴミ物件みたいなところに人が住むでしょうか。今物件が余っている状態なので、安い物件は探せばいくらでもあります。最安値だといってもゴミばかりが散らかっているような物件よりも、原状回復レベルであっても、中で人がちゃんと生活できるようなものが当然選ばれていきます。
かといって、ボロ物件にいくら費用をかけてキレイにしても、そこのエリアのターゲットに家賃が高くても住もうという層がいなければ空室は埋まらず、結果として家賃を下げないといけないということになります。このバランスを保つことを一番重要視して取り組みました。
■管理会社の能力
じゃあ具体的にどうしたかというと、まず管理会社さんの管理能力を見極めました。
近くに物件を確保したといっても、基本的には遠隔操作です。何かあったときに毎回大家が動くのではいけないし、そんなのは私も嫌です。管理会社さんの力をうまく利用しなければならないので、自分の思い通りに動いてくれる優秀な管理会社さんを見つけなければいけません。めぼしい管理会社さんをネットで見つけておいて、物件を見に行く時や買った時、リフォームするタイミングとかで5社~7社ぐらいにヒアリングをするんです。
ヒアリングでは様々な質問をします。
例えば入居者から深夜12時に電話があったらどうするのかといったことを聞きます。そこでちゃんと切り返しができたら安心ですが、中には「そんな電話は来ないから大丈夫ですよ」みたいなことを言うところもあります。それって入居者が困って電話してきているのを無視しているパターンですよね。そういうことを平気で言う会社さんもいます。
客付けについても、このエリアでこの家賃の価格帯にした時に、どういう取り組みで埋めようとしているのかと聞いてみるんです。いろいろなプランを考えている会社もあれば、家賃を下げるしかないの一点張りのところもあります。また、そのエリアはどういう入居者さんが来そうなのかを聞いて、ある程度のイメージを作ります。
例えば近くの工場から来るエリアであるとか、駅から呼び込めるとか、30代から40代の人が多いとか、そういったイメージを持つことで、そのエリアのターゲットにマッチしたリフォームをすすめていくこともできます。○○○○がいいなどという方もいるかもしれませんけれども、仮に○○○○の方針がよくても、結局担当者によって、店長によって対応は変わってきます。ですから、しっかりとした管理会社を探すことを追求する必要があります。
■物件力
次に大切なのが物件力です。
ただし、物件にお金をかけないということも考えないといけません。不動産投資は収益を得るためにやっているので、支出はできるだけ増やしてはいけないのです。
リフォームする際も安くて効果的なものを選びます。例えば原状回復しなきゃいけない部分というのは必ず出てくるのですが、単純に原状回復をするだけではなく、もっとターゲットを見据えたもの、おしゃれなもの、付加価値のあるものを付けていくことが重要です。
また、退居の度にお金がかからないようにすることも重要です。
例えば壁紙をクロス貼りにするのではなくて、一部分にOSB合板を施工することで、傷がついても目立ちにくくすることができ、なおかつアクセントにもなります。その部分だけ交換することもできます。
あとは、物件を買った時には木部塗装をしないと駄目なケースが多いので、ターゲットを見据えつつ、オレンジ色とか青とか、そういったものでアクセントをつけていくのもいいかと思います。
わざわざ費用をかけてアクセントクロスを貼るよりも、どうせやらなければいけない部分や交換しなければいけない部分でアクセントを付ける工夫をします。このように、できるだけ費用を抑えて物件力を高めることも重要です。
■家賃と初期費用
さらに家賃と初期費用についてもターゲットを見定めながらバランスよく設定する必要があります。
例えばネットの検索サイトで上位に表示させるためによくやるケースとして、1室だけ極端に安い家賃を設定しておきます。検索ユーザーさんは価格が安い順で探すこともけっこうあるので、検索結果の上のほうに表示されるようにします。そういう検索ユーザーさんが物件を問い合わせてきたときに、管理会社さんにできるだけ他のちょっと高めの部屋を案内してもらい、そっちに落とし込むような形で話してもらいます。
毎月の家賃は高いけれども、フリーレントを2カ月付けるとか、家具・家電を付ける、あるいはクロスの色を選択できる、電子ロックキーを付けるなど、ターゲットにとって魅力ある条件を提示します。こうすることで家賃が高いほうに誘導することができます。
また、仮に物件をすぐ売却するというイメージがあるのであれば、家賃が高いほうが買い手が利回り計算をした時に有利に思いますから、高い家賃は維持したままで、初期費用をぐっと下げて埋める方法をとるということもあります。
このように、いろいろとアイディアを絞って、管理会社の客付け能力、物件力、家賃と初期費用の三つをバランスを調整すれば、埋めることというのはそんなに難しくないと思います。 これはもう、やるかやらないかだけの話で、やれば必ず埋まります。やらない人が本当に多いと思います。トライ&エラーで努力していく必要があるところだと思います。
目標とか考え方によって、狙うべき物件が見えてくる
|―今、不動産投資を始める方が増えてきています。今後の不動産投資をどのようにお考えでしょうか?
不動産投資において大切なことは、目標を明確にすべきだということです。
そこがブレてしまうと、結局大事なものを見失って目標が達成できない可能性が出てきます。単純に収益が欲しいからと、知識もなく勉強もせずに、業者さんから紹介されるまま、高い金利の融資を当てはめられて買ってしまう人が中にはいます。
仕事を辞めて自由な時間を持ち、労力をかけずに収益をあげたいという思いで不動産投資を始めたのに、空室が埋められずキャッシュフローが悪化し、不動産があるせいで次の物件も買いづらい状況になり、毎月赤字を垂れ流してしまう。これでは何のために不動産投資をはじめたのか分からなくなってしまいます。
目標をきちんと見定めていたら、「こういう物件はちょっと違うな」とか、もっと勉強したり、われわれが運営しているビリオネアクラブのセミナーで話を聞いてみるという選択肢も出てくるわけです。何も考えず、「不動産ブームでお金が儲かる、いい話じゃん」ということで軽いノリで始めてしまうと、いつまでも目標が定まらないので、そこは大事にすべきだと思います。
目標が定まったら、次にどういう形で不動産を買っていけばいいのかを考えます。
目標を見れば、今後どういう投資戦略で行くのかという路線が見えてきます。
例えば20歳ぐらいで仕事を辞めて不動産投資一本でいこうと考えている人だったら、若いぶん動くことができるわけですから、地方の物件を自分の努力で埋めることもできます。そうすると地方でもキャッシュフローをつかんでいくような物件を買っていけばいいのです。
逆に定年退職を目前に控え、年金ぐらいの収入があればいいという人で、できるだけ手間をかけたくないという属性の方であれば、ワンルームの区分マンションでもいいかもしれません。比較的エリアの良いところだったら埋まりやすいだろうし、現金で買っておけばキャッシュフローもよくなり、年金替わりになるイメージができます。もっとリスクを負ってマンションを買ってしまうという方法もあるでしょう。
目標とか考え方によって、狙うべき物件が見えてくると思います。
そして物件探しです。
不動産業者さんと会って、この物件はどうなのかと自分なりに考えていきます。よければ買い付けを入れて交渉してみます。実際に行動してみることが大切で、行動すると大体理解できてくるんです。
「不動産ブームで売り手市場になっていて、なかなか買えない。ちょっと利回りを下げた物件じゃないと駄目なのかな」とか、「利回りは捨てないで、エリアはどこでもいいという感じにしちゃおう。空室が埋めづらかったら、自分が埋める努力をすればいいじゃん」という考え方もあるかと思います。
自分の目標と、その達成に必要なキャッシュフローを得るにはどういう物件を選べばいいのかということを、実際にやりながら掴んでいきます。
何も分からない状況だと、不動産屋さんに「どういう物件買ったらいいんですか」と聞いてしまうことになりますが、目標とそれに見合う物件のイメージができて実際に行動していけば違う質問になります。
「このぐらいの価格帯で買うのは、今の市況としてはどうなんですか?」といった、より具体的な質問になってくるはずなので、やっぱりやらないと駄目だと思います。
手間をかけずにキャッシュフロー100万円以上
|―今、佐藤さんは退職されて、アーリーリタイアという形になっていると思うのですが、不動産投資をやって夢が実現できたとか、よかったと思うことについて教えていただけますか?
不動産投資はインフラが整っているので、ビジネスとしては比較的簡単なほうだと思います。
私はずっと船で海外に行って、いつ命を落とすかというような環境下で生活をしてきたので、インフラが整っている不動産投資や賃貸事業は、真剣に取り組めばにやりようはいくらでもあると思っています。
私の今の状況ですとキャッシュフローは100万以上あります。それでも、自分が自衛隊にいたころよりも手間をかけていないんです。管理会社に電話するだけで、ずっと拘束されてるわけでもない。それで100万以上のキャッシュフローを得られるというのは、相当な話じゃないですか。
もちろんリスクはあります。キャッシュを貯めて増やしていく努力はしないと駄目ですね。そこで努力を怠るから埋めづらくなり、金利が高いところで借りて何もしないから飛んでしまうんです。
真剣に取り組むということさえすれば、中には200万、300万とキャッシュフローを得ている方もいるので、これはもう現実的にできるのです。しかもそのレベルで不動産賃貸業に特化してやっていれば、銀行融資も借りやすくなるでしょうし、さらに資産が増えていく域に達します。時間とお金が自由になって、やりたいこともできるようになってくるというのはすごく魅力的ですね。
自分がどうなりたいのかというのを常に考えておくこと
|―佐藤さんにとって不動産投資とは何でしょうか
こういう生活ができるようになったのは不動産投資のおかげなんですが、それはあくまでも手段なので、やっぱり自分がどうなりたいのかというのを常に考えておくことが必要で、そのために不動産賃貸事業をどうやって有効活用するかという考え方が重要なんじゃないかと思います。
最後に
|――最後に、今頑張ってる大家さんやこれから始めたいと思っている方へメッセージをお願いします
仕事を辞めて、不動産賃貸事業一本に専念し、さらにはビリオネアクラブという組織を運営できるような状況に私はなりました。
私は特殊な人間ではなく、自衛隊のことしか知らない、マーケットも分からない人間でした。そんな私でもできる世界なので、真剣に取り組みさえすれば、本当に自分の夢、目標は達成できると思います。目標や夢が曖昧なままで、単純に買い進めているだけだと、「税金が高くなって減価償却も切れて次の物件を買わなきゃみたいになり、もうからなくなる」人が中にはいます。
ですが、真剣に取り組んでいけば、自分の人生を変えられるものを不動産投資は持っています。あとは行動です。是非、頑張ってください!
※注:この記事の内容は2015年3月の当時のものです。