積極的な融資姿勢は変わらず、金利も超低水準!

はじめに
「2014年度の不動産業向け融資はバブル期を超えた」という日銀のレポートが、2015年春ごろにニュースとなっていました。金額で見れば、もちろんリート(不動産投資信託)や機関投資家に対する大型案件が多くを占めるようですが、個人投資家向けを含めて、不動産全体への融資が膨らんでいるという内容でした。
低金利
実際のところ、不動産投資に対する融資は現状も相変わらず超低金利が続いていますし、融資姿勢も積極的です。金融機関同士が競争し、それぞれ特色のある融資をしています。メガバンクでは、金融緩和のため日銀の特別融資枠が組まれ、0.5~0.6%という破格の低金利で融資するところも少なくありません。
とはいえメガバンクの場合は、借り手の属性が重視される傾向は今も変わりません。相続対策のために不動産を取得する富裕層など、資産背景がしっかりしている場合は1%以下の低金利でフルローンも可能ですが、そうではないサラリーマン層の場合は、2~3割の頭金を入れることが条件になるケースが多いといえます。仮に1億円の1棟マンションを購入するとしたら、3,000万円を支出する計算です。
ただし、最近はサラリーマンだからといって、必ずしも頭金が必須とは限りません。金融機関によっては、手持ち資金があり、それを定期預金に入れればフルローンでもOKなどという場合もあります。以前に比べて、全般的に融資姿勢が柔軟になっていることは間違いありません。
特徴ある融資を提供する地方銀行や信用金庫
不動産業向けの融資を伸ばしている地方銀行や信用金庫では、それぞれ特徴のある不動産投資ローンを扱いはじめています。メガバンクのような1%以下の超低金利は難しいことから、金利以外の面で特徴を出しているのです。おもに「融資期間」と「物件の築年数」について条件を柔軟にして対応しています。
例)
中部圏の地方銀行Aは、金利は3.0~3.6%とやや高い水準ですが、築古物件でも融資可能というのが大きな特徴です。築20~25年の木造アパートで、融資期間20~25年でも組めるという担当者からの声もあります。資産と負債のバランスが取れていれば、頭金ゼロ、つまりフルローンも可能です。
従来から収益物件の融資に積極的だった地方銀行Bも、新機軸を打ち出しています。これまでは4%台半ばの金利が基本でしたが、首都圏の中でも特に不動産投資のニーズが高いエリアについては、新規貸出金利を1%程度、優遇するサービスをしています。この銀行はもともと、木造に対しては消極的ですが、鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造なら築30年でも最長35年の融資に対応します。
それ以外には、信用金庫もあります。金利は2%台前半から2%台後半と、メガバンクに比べれば高水準ですが、RC造であれば、築40年でも最長30年の融資も行うとのこと。つまり、1981年以前の旧耐震設計でも可能ということです(但し、修繕履歴の提出、建物診断等、一定の条件があります)。
RC造の税法上の法定耐用年数は47年ですが、物理的な寿命は60~70年、あるいは100年ともいわれています。通常は「法定耐用年数-築後年数」が融資期間の上限ですが、この信用金庫は、物件の物理的な寿命を基準に評価するという姿勢といえます。
最後に
このように、従来は融資対象にならず、投資の道が閉ざされていた物件にも使えるローンが登場しています。どこも、2~3カ月前まではなかった商品サービスを打ち出しているのです。