フィリピン不動産投資の先駆者 中島健一さん

これから大家さんになって自分の夢を実現したいという人の力になったり励みにしてもらえるように、先輩の大家さんの声をお届けする「先輩大家さんインタビュー」
本日のゲストは、フィリピン不動産投資の先駆者 中島健一さんにお越しいただきました。
中島健一さんプロフィール
平成19年に貯金600万からスタートし、いきなり地方の低利回り(9.4%RC)物件を購入するという大失敗を経験。
どん底から逆転するために3万円で英会話スクール開業し黒字化に成功、売却。また、競売で格安での物件仕入れ等で現金を作り、2K×8世帯、利回り28%の物件を現金購入。そこからキャッシュフローを安定させ、各地に複数の物件を購入すると、全物件の平均利回り20%超えに達成し、大幅な資産増大を実現。近年では、フィリピンへ徒手空拳で乗り込み、フィリピン不動産投資に着手。
全て現地で対応できる仕組みと人脈を確立、拡大中。リノベーションすら現地で施主支給を可能とし、現金で購入した3ユニットは賃貸運営に見事大成功。
得意技は低コストで費用対効果の高い美装工事、および競売等を利用したで低価格での物件購入。
著書:ボロ物件の再生で不労所得!『死ぬまでお金に困らない財布を30代で手に入れる方法』
Blog:http://ameblo.jp/kenxxxn33/
この記事の目次
不動産なんてまるで興味がなかった
| ―中島さんの簡単な経歴と不動産投資の経験を教えていただけますでしょうか
サラリーマンの時にスーパーマーケットで働いておりました。まあまあ転職もしているのですけれども、最後に転職したところが保守的でコンサバな会社で、まったく肌に合わないながらも我慢して働きました。
33歳ぐらいの時から不動産投資をはじめまして、ちょうど丸7年関わっています。
7年前(2008年)というと、まあまあ利回りも高いし融資もバンバン出ていた時だったので、周りは高利回りの物件とかを買っていたのですけれども、僕は埼玉県熊谷市に、RC造で利回りが9.4%と低い物件を買いました。熊谷の人には大変失礼なんですけれども、まあまあ田舎で客が付きづらい比較的残念な地域です。
そんな物件をあえて買いました・・・嘘です。
実は「買ってしまった」感じです。そこから始めて、競売とかで安くて「くそボロい」けれども利回りの高い物件を買いはじめました。
お金ができてきたら、キャッシュでアパートを買ったりして、財務を立て直して今に至ります。
|―スーパーで働いていたところから不動産投資をやられたということなんですけれども、不動産投資を始めようと思ったきっかけというのは何だったのでしょうか?
あったような気もするのですけれども、今となってはよく分かりません。
何となく「そんなのがあるんだ!?」みたいな感じで、なんとなくいけそうな感じがしたからという感じでしょうか。
―興味があったということですか?
不動産なんてまるで興味がなかったですね。
お金を借りてまでやることじゃないと思っていましたし、怖いイメージがあったんです。けれども、なんとなく勢いで買ってしまいました。
|―「ちょっとやってみよう」みたいな感じだったのでしょうか?
そうですね。一つ記憶しているのが、僕が学生の頃に住んでいたアパートの隣にワンルーム×14世帯のアパートがあって、それが折り込み広告に売り物件として出されていたんです。その価格が1,100万円だったんですよ。その地域だとワンルームで家賃が3万5,000円ぐらい取れるので、3万5,000円×14世帯で購入価格1,100万だったら、かなり利回りが良いですよね。
今じゃちょっとない数字なんですけれども、「家より安いじゃん」と思いましたし、そこの14部屋の1室に自分が住んで、13世帯を貸しに出したら、「俺、金メッチャ儲かるじゃん」と思ったのを覚えています。
でも当時は「そんなわけあるか」とも思っていました。
ところがある時、今までの人生で払っている家賃を計算したら、合計800万円ぐらいになっていることに気付いたことがありました。800万円といえば「完全に大富豪じゃん」と思っていたので、
「こんな馬鹿な金は払いたくない」と思ったのも、不動産投資を始めるきっかけの一つでした。
―計算してみると「いけるんじゃないか」という直感みたいなものがあったんでしょうか?
「まぁなんとかなるかな」でしょうか。
|―1棟目の物件を買う時は怖いとか買いづらいと感じる人が多いと思います。不動産投資をやる前と後で、心情的な部分や金銭的な部分で変わったことを教えていただけますか?
簡単に言うと、不動産投資をやった後は「早くやめたいな」と思いましたね。
今まで考えたこともない会計とか確定申告とか、これまでノータッチだった世界の知識を同時並行に身に付けないといけないし、賃貸するための法律とか、いろいろな不動産のルールとか、全然分からないままやっていたので、「こんなに覚えなきゃいけないことがあるなんて。
メチャメチャ大変だから、こんなの早くやめたいな」と思いました。
―早くやめるために、いろいろ物件を買い増していって、次のステップに目標を変えたということでしょうか?
全然違うんですけど(笑)。
「早くやめたい」という思いはまあまあありまして、1棟しか持っていないと、その物件でもし何かがあったときに、怖いじゃないですか。
1棟しか持っていないというのはむしろリスクで、やっぱり3棟ぐらいは持っていないと怖いなという、ビビリな気持ち、ネガティブな気持ちから3棟目ぐらいまで持ちました。
モンスター入居者!?
|―不動産投資をやられていて大変だったこと、苦労されたことを教えていただけますか?
期待に応える回答にはならないのですが、うちの母親は「ミドリ」と言うのですけども、僕はミドリから楽天的な遺伝子を受け継いでいまして、(嫌だったことは)すぐ忘れてしまうんですね。
ただ、初期の段階で、今で言う「モンスター入居者」さんみたいな人たちが結構いらっしゃいましたので、そういう人たちとのやりとりは非常にストレスになりました。
あとは、内装・リフォームから税務の知識まで含めてすべての分野について一通りの知識を得るまでは、単純に辛かったです。
リフォームの知識に関して言うと、300万円ぐらいの戸建てを買ったときに、1年間かけて自前でリフォームしたんです。風呂の入れ替えからベランダの床面のプラスチック板の張り替えまで、ありとあらゆる事を1年間かけて自分でやりました。
大人のプラモデルですね。そのおかげで作業の段取りや各部品もすべて分かるようになり、リフォーム屋さんとも話ができるようになったかな、という感じですね。
|―モンスター入居者さんとのやりとりに苦労されたということですが、どういった形で乗り切ったのでしょうか?
いろいろなテクニックを書いている人たちもいますけれども、そんなものは後付けで、大事なことは簡単に言うと、「ギブアップしない」ということだけじゃないでしょうか。やり続ける、やり抜くということ。
―根気よくコミュニケーションをとり続けるということでしょうか?
もう、気合で乗り切るしかないですね。手をグーにして「ぶっ飛ばしてやろうか」と思った事は一度や二度ではないですね。
―真摯に入居者さんと向き合う姿勢を崩さなかったところで、良い形で終わることができたということですか?
(モンスター入居者の入居期間)3分の2ぐらいの所で、朝4時に嫌がらせの電話がかかってきたときには、軽くブチ切れまして、大人じゃないセリフを吐いてしまったことが5~6回あります。
そのあとは、最終的にはまとまりまして、「お互いそんなこともあったよね」という感じになるように収めました。
―いろいろご苦労があったということですね。
大したことはありません。
|―不動産についての一通りの知識を得るまでに、とても時間がかかって大変だったとおっしゃっていました。どういった形で勉強されたのですか?
本とかも多少読みましたが、やりながら勉強しました。また、当時はブログが全盛期だったので、いろいろな人たちのやり方をブログなどを見て学びました。
でも一番は実地ですね。実地でやりながら、いろいろなものを電話帳で調べ、専門家の人たちに電話し、いろいろな人たちに会って話をしました。現場です。現場が圧倒的に一番です。
ボロ物件を再生するテクニック
|―ボロ物件をどう再生して良い利回りを出していったのでしょうか?
まず、リフォームの仕方について話します。
具体的なテクニックはいろいろあるのでしょうけれども、私の場合はひたすら入居者が入っていない、全部屋が空室に近いというみんなが買いたがらない物件を買って、一気にリフォームしました。
まとめてリフォームをすることでコストを下げられます。
リフォームの仕方にはいろいろなパターンがありますが、基本的に分離発注でした。人工で発注する感じで、材料はそれぞれのパートの職人さんに揃えてもらうこともあれば、自分で揃えることもありました。そんな感じでリフォームは安くあげていました。
あとは入退去の時にどうしても費用が発生してしまいますので、入退去の際に極力費用が発生しないような部屋づくりをしようと考えていました。経費がかからないのはいいことなんですが、経費がかかりすぎなくて今は困っています。
(税務上の)経費にならないので。
|―入退去の経費がかからない部屋づくりというのは、具体的にどういった事なんでしょうか?
基本的にリフォームの大半を占めるのは床と壁です。床と壁を直さなくてすむような作りにするのです。
床材で手軽なのはクッションフロアですが、重量家具を置くと凹むんです。物によって特性が違うので一概に言い切れないのですけれども、凹んだ場合には、ドライヤーをあてると少し戻るとか、いろいろなテクニックがあるのですけれども限界があります。
フローリングの場合は安いB級品だと、当時は一束3,000円とか2,000円とかで売っていました。
ただ、安いものだと傷が付きやすく、例えば体重が重いと、イスに乗ってキャスターでグルグル回っただけで傷が付いてしまうんです。
また窓際の床は色あせしますよね。そうなったら当然しんどいですし、木材なので意外とお手入れが必要になってきます。
そういうところには木目調の硬質塩ビタイルというのを使います。ほとんどフローリングに近いような見た目で、見た目はむしろフローリングよりも良いのです。
こういうものを使うと傷にも水にも強いですし、最初から何種類かの色を適当にまばらに使っていれば、1枚おかしくてもそこだけ剥がして張り替えて別な色や変な色を入れてもあまり違和感がないのです。在庫で適当にごまかすことができて、デザインに紛れさせられるので、誰にも分からないという。
しかも、入居希望の方には「この床格好いいっすね」と褒めてもらえると。単に適当に散らかしてもらっただけなんだけど。そういう在庫の余りだけで作った部屋が何部屋かあります。
壁については、アジアや欧米だとまだまだペイントのところがあるのですけれども、日本はクロス文化で、内壁は石膏ボードというパターンが多いのです。
そこで僕は石膏ボードの替わりに合板を使います。OSB合板と言って、細かいチップを集成して圧縮したコンパネのような構造材があります。
あとは針葉樹合板というのがあるのですけれども、あれがなかなかデザイン的にもいいので、色の浅めのものを壁に全部貼ってしまいます。
札幌の山岡さんとかが、それをかっこよく仕上げていますよね。
僕も途中で「これ格好いいな」と気付いて、今から5年くらい前に使い始めたんです。まあまあ格好いいし、後はクロスの張り替えがそもそも必要ないんですね。しかも壁に耐力が付くので、クギでも何でも打てるわけです。何でも掛けられるし、そこに重い棚を取りつけることもできるので、「これはいいな」と。
ただ、全面に施工しちゃうと重いので、アクセントプラスの代わりに1面とか2面だけ使います。もしくはデザイン的に。そうすればクロスの施工範囲を物理的に減らすことができます。
|―できるだけセルフリフォームで自分でやったほうが安く上がると思っている方は多いと思うんですけれども、ここはやっぱり業者に任せたほうがいいのでしょうか?
好きにすればいいんじゃないでしょうか。
いろいろな考え方があるので、セルフリフォーム万歳の人もいれば否定派の人もいますが、ぶっちゃけて言えばどうでもいいんですよ。
ただ僕が初心者の方にお薦めするのは、セルフリフォームを自分の経験として一度はやっておくということです。
僕は一通り自分でやってみて、それ以降は面倒くさいし時間も食いますのでセルフリフォームをしていません。大工さんの人工よりも僕の人工のほうが高く付くのでやりません。
例えば洗面化粧台の取り付けなんかは素人でもできますが、素人とプロの施工では後々違ってくるんですね。
何が違うかというと、洗面化粧台は誰でも取り付けられるほど簡単です。
ただ、パッキンが古いか新しいかが問題になってきます。シールテープの貼り方が甘くて水がそこから漏れてきたりとか、洗面化粧台は古くなると蛇口の根元のほうから水が浸みてくることがあります。パッキンを全部一律に新しいものに交換すれば問題ないのですけれども、古いパッキンを一部だけ新しいものに交換したがゆえに、他の古いところとの圧が変わって、今度は他から水漏れすることがあり得るんです。
ですので、知っている人はパッキンを全部替えるんです。
素人がやると結果的に高くつくことがあるので、特に水回りは自分でやるのをまったくお薦めできません。安く上がると言いますが、安ければいいというものではありません。時間軸を長めにとった場合に、ちゃんと職人を使ったほうがはるかに安くすむということがあります。
ただお薦めしたいのは、一度は何かしらで自分の経験としてやっておくことで、相場と手順が分かるようになります。
大家さん業で勘違いしないでほしいのは、そもそも事業と呼べるようなレベルのものではないですし、かといって趣味と呼べるものでもない、大家業は、半事業みたいな感じのものです。
これをビジネスというには甘すぎて笑っちゃうぐらいなんですけれども、やはりビジネスがらみのことで言えば、相場を知って、ある程度の手順を知って、自分が分かるからこそ、初めて他の業者さんと話ができるんですね。
その後、自分の手を煩わせることがないようにするために、勉強のためにセルフリフォームをすることは非常に大事だと思います。
僕もそれでやっていますので、一通りのことは全部できますし、道具も全部揃っているのですが、それ以降は全くやりません。全部おまかせです。
自分に知識がないと、そもそもいろいろな話ができないので、職人さんの言われるがままになっちゃいますよね。
単に「安くしてください」と言うのと、中身の構造や原価を知っていて交渉するのでは雲泥の差が出るわけです。
うまく職人さんたちに協力してもらって、いい関係を作りながら低コストでリフォームをし続けていったほうが、長い時間で見た場合に自分でやるよりもはるかにコストダウンになるんです。出来もスピードも違います。
自分でやると時間がかかるから、入居募集まで時間がかかるわけです。これは無駄ですし、完全にチャンスロスですよね。
なので、職人さんにすべてお願いしたほうがいいというのが結論ですが、勉強としてやるのはなお良いということですね。
物件選びで唯一こだわったのは、まあまあ近所ということ
|―物件を選ぶ時に、空室になっている物件見繕って買うという話でしたが、駅近がいいとか場所についての基準はあるのでしょうか。同じようにやろうと思っている方は、どういう場所を基準に選んでいったらいいのでしょうか?
これもいろいろな考え方がありますし、その人の収入や属性、どのくらいの期間で収入をどのくらいにしたいのか、全て初心者のみなさんの「どうしたいか」によると思うのですけれども、駅前である必要もないし、田舎だから駄目というわけでもありません。
僕が唯一こだわったのは、まあまあ近所ということです。僕は遠いところに行くのは億劫なので嫌なんです。北海道の札幌に物件を買って成功されている方もいらっしゃるので、すごいなと思うのですけれども、僕はちょっと遠いところにあるのが嫌なんですね。
僕は埼玉県に住んでいますが、購入する物件はみな埼玉県内に限っています。
|―見に行きたくなったらすぐに行ける所ということですか?
行きたくはないです。でも何かあったら行けるということですよね。そこの管理会社さんに。
実際、自分の物件なんてほぼ行くことがないので、何がどうなっているのかさっぱり分かりませんが、人間関係がベースですから管理会社さんにはたまに会いに行きます。
業者さんには会いたいので、会いに行くのが面倒くさくならない範囲にしています。
―そこはすごく大事ですよね。
メッチャ大事ですね。あと、はっきり言ってしまいますと、僕は嫌いな初心者とか嫌いなタイプの大家さんというのが結構いまして、いろいろな大家さんのノウハウ本に書いてあることを鵜呑みにして、小手先の技だけを吸収して、うまくやろうとしすぎる連中は絶対よくないです。そういう人たちは何をやっても100%ビジネスは成功しないです。
堂々と、というわけではないですけれども、ドーンとぶつかったらいいんです。自分が背伸びする必要はないし、「ちょっと僕知ってます」みたいに営業に知ったかぶるちょっと残念な人もいますけれども、あれはまったく逆効果です。そういう小細工はよしたほうがいいですね。
―やっぱり真摯に人と向き合ってやっていくのがいいということですね。
単純な話、あなたがとある会社でベテランの領域で新入社員が入っててきたとして、
何でも知ったかぶりする新入社員と、「僕、まるで全然分からないので、すいませんけれども、ゼロから・・・と言うか、むしろマイナス50くらいから、バカでも分かるように面倒見るてやってください」と言われた時とどっちが面倒見る気になりますかっていう話ですよ。
―かなり違いますね。教える側としても。
残念なことに、みんな安い無駄なプライドを持っているがゆえに知ったかぶってしまって「あぁ本で見ました」とか、「あぁ聞いたことがあります」・・・。知るかボケって話ですよね。
営業からしたら。こちとら商売でやっとんねんと。本の知識と違うという話ですよね。
3つの指標にこだわった不動産投資戦略
|―中島さんが実践してきた不動産投資戦略について教えていただけますか?
僕らは、銀行からお金を借りる以上は、銀行さんの動向にどうしても左右されてしまいます。そういった意味で、不動産で考えなきゃいけない数字は、僕は三つだけだと思っています。
一つ目は単純に資産性。
資産性とは何かといったら、要は銀行のためのものですね。
二つ目は収益性。
これは自分のためのものですね。
三つ目は入ってくる家賃に対する返済比率。
僕はほぼ、この三つの指標しか気にしません。収益性と資産性は両方を兼ね備えるというのは難しいので、相反する場合も多々あります。
ちょっと話が根本になりますが、サラリーマンは「自分」という人間を会社に投資して給料という「配当」をもらっているから、サラリーマンをやっているだけで与信枠が出ていて銀行からお金が借りられるわけです。つまり自分の肉体を投入して担保力が付いているわけですね。
人によって4,000万だったり6,000万だったり、1億だったり2億だったりするわけです。
その担保が高いか低いかにもよりますが、サラリーマンがやりやすいのは積算評価の高いもの、要は銀行評価の高いものをたくさん買って与信枠を広げていって、どんどん買い増しをしていくという方法があります。
けれども、これって単純に言うと、基本はバブル期の時のやり方と一緒なんです。バブルの時はどうかというと、不動産の値段が上がっていきます。だから、同じ物件を持っていても5,000万円の評価だったものが、来年になったら6,000万円になっています。
という事は自動的に与信枠が増えるので、その与信枠でどんどん新しいものを買い増していけたんです。今はデフレですけれども、積算評価が売価よりもはるかに高いものを買って与信枠を増やしてどんどん買い進めていきます。
これだと必然的に利回りは高くなれないですね。中には利回りが15%ぐらい取れたりする物件もあります。けれども、これは市場が決めることなのでなんとも言えません。そうやっていく人もいれば、単純に利回りの高い築古で行く人もいれば、ミックスする人たちもいます。
僕としては、さっきもお話ししましたけれども、不動産はさっさとやめたいと思ったぐらいの勢いなので、いっぱい世帯数を持つというのが苦痛なんです。なので、いつ頃のことか忘れちゃいましたけど50世帯以上持たないと決めました。
管理会社がいくら面倒見てくれるとは言っても、最終的なものは自分が動かざるを得ないので、入退去とかでトラブルが起こったときには、「大家さん、どうしましょうか」って電話が来るわけです。僕は電話に出るのが面倒くさくて非常に嫌なんです。
ですので、いっぱい物件を持っていると面倒くさいんですね。50室くらいとなると、そんなに積算が大きいものを買う必要はありませんから、利回りの高いものを買いながら、たまには貯まったキャッシュで戸建てやマンションを買ったり、たまに資金に余裕を持たせて、人が全然入っていないゴミ箱のようなアパートを現金で買ったりします。
安いお金でリフォームすることはすごく勉強したので、市場価格の価格になるので購入時の倍近くになることもあるわけです。つまり、キャピタルゲインを得られるのが前提ですね。
ポイントなんですけれども、きれい、入居率が高い、築浅といういろいろなパラメータがあります。
これを円グラフにしたときに、初心者の人は大体パラメーターのグラフが全体的にいいものを狙おうとしますが、それは絶対に買えません。無理ですから諦めてください。
失礼なことを言いますけれども、初心者はそれを勘違いしています。素人で知識もない、金も大してない、コネもないような人たちは、絶対にプロには勝てません。何があっても無理です。当たり前です。身の程を知ったほうがいいです。
なぜかというと、あなた方よりも100倍金を持っていて、コネクションを持っている不動産屋さんの人たちというのは、幼稚園児とプロ野球選手ぐらいの開きがあるわけですね。そもそも戦いになりません。
狙い目は管理の悪いボロ物件
では、そういう初心者が取るべき戦略は何かと言ったら、これから身に付けていくことなので、人より努力しなければいけないのです。新入社員の頃のように。
どういうことかと言うと、みんながいいと思う物件は競争率が激しいんです。みんながよくないと思う物件は競争率が低いんです。
だからみんながよくないと思うような物件からなんとか頑張って、ぼちぼちな感じの物件を選んていったほうがいいですね。
買えない人というのは、身の程知らずで自分の理想が高すぎなんです。
僕が選ぶのは、全室空とかそういう変なのですけれども、そこまでいかなくてもいいです。せめて入居率が6~7割ある物件を選びましょう。逆に言うと、2~4割空いている物件です。ちょっと嫌だなぐらいでもいけますね。
入居が7割ぐらいあれば銀行もまあまあ評価してくれます。アパートに行って草とかがボーボーになっていたら、それはもう勝ちですね。「よっしゃ来た、これだ」と。草ボーボーという事は管理をしていないからです。
物件のスペックが悪いのではなくて、管理がボロボロだから入居されないわけです。
という事は、ダイヤの原石の女性みたいなイメージで、髪ボーボーで、こきたない格好しているんですけれども、ちゃんとお風呂に入れてあげてきれいにしたら、「お前メッチャ美人だな」という女性と同じですよ。そういうのを探しましょう。
明らかに「これちょっとしんどいな」という物件には、最初に手を出してはいけないと思います。
レベルが上がってきたら直せる率がだんだん上がってきます。やっぱり人と同じ事していたら無理です。
何が言いたいかと言うと、「何かをやろう」と思ったとき、もしくは「物件を買おう」と思ったときに、みんながいいなと思った瞬間に、もうあなたは1,000分の1とか100分の1とか10分の1なわけです。
でも、「これちょっとしんどいな」とか「残置物が山のように積まれているな」とか、これどうするんだろうと考えただけで気持ち悪くなるような物件ということは、全員がそう思うんですよ。
ということは、そこに手をかけた瞬間に勝ちなんですよ。
あとは、そこをいかに何とかするかということなんですけれども、そこもみんなすぐ人に頼って「どうしたらいいんですか」とか、いろいろな先輩だとかに聞いたりします。僕、メンターメンターって言っていることに違和感を感じていて、本来なら自分で考えるべきこと、判断すべきことまでメンターの考え方、判断に委ねるような方々はお友達になりたくないなと思います。
それはまぁいいとして、自分でなんとかすれば自分の実力にもなりますし、それができるようになれば勝ちです。
ブルーオーシャンを探し続ける人って、レッドオーシャンで溺れるでしょう。
本当のブルーオーシャンって、完全に真っ赤に見えるようなものの中でいかに生き抜くことができるか です。
明らかにみんな「これちょっと嫌だな」と思うものを自分で再生できるようになったら、もう完全にブルーオーシャンですよ。レッドオーシャンの中のブルーオーシャンです。多分ニッチトップという考え方とは違うかもしれませんが大事だと思います。
―まさに大家力を上げる、自力を上げるところが大事だと思いますね。
今話したのは大家力と言うよりは仕事力ですね。
大家力というのは何かというと、どれだけテナント、店子さんの立場になって考えてあげることができるかだと思います。
あとは管理会社さんの仕事や彼らの立場も理解してあげて、不動産の営業の仲介さんのこともよく分かってあげて、自分じゃなくて店子さんや不動産屋さん、管理会社さん、仲介屋さんの気持ちを理解してあげた上で、いかに良い関係が築けるかというのが大家力だと思います。いかに金を稼ぐかというのは大家力ではなく仕事力 です。
それはビジネスマンです。大家さんは、マネタイズ力と言うのかどうかよく分からないですけれども、人間力が問われています。
小手先の技で、なんとなくウエルカムボードを作ったからどうこうと言う人がいます。僕も最初は作っていましたし、確かに評判は良いんですけれども、いくら物で溢れさせようが気持ちがこもっていなければそんなのはカスですよ。
あと「入居したらこんなプレゼントをあげます」って言っている人もいるんですけれども、物で釣られるお客さんは属性が低いので、トラブルメーカーになりがちですよね。
そこは微妙なものかなと思います。否定はしませんけれども、最終的にトラブルシューティングをするのが得意な人はいるので、それを分かっててやっているという人たちであれば「さすがだな」の領域なんですが。
本当に基本に立ち返って、いかに店子さんのことや周りの人たちの立場になって考えてあげることができるか、というのが大家力だと思います。
フィリピン不動産投資を始めたワケ
|―中島さんは、フィリピン不動産の投資も手がけられていらっしゃいます。なぜフィリピン不動産投資を始められたんでしょうか?
かいつまんで話しますと、今から3~4年前にマレーシア不動産が流行っていました。僕は単純に海外に遊びに行くのが好きで、マレーシアは散々行ったんですが「マレーシア不動産は金にならないな」と思ったんですね。
海外不動産投資というと詐欺まがいの物件も多くて、その当時、外国人は50万リンギット以上の物件じゃないと買えないというルールがありました。とあるセミナーに行きましたら、セミナーで物件紹介をしていまして、その価格が50万リンギットだったのです。その物件をちょっとネットで検索してみたら、なんとウェブサイトに出ていて、12万リンギットだったんです。
フィリピンに行ったのは、たまたま僕の英語が非常にゴミのようにへたくそで汚いので、人生で1度くらいは勉強したいなと思いまして、セコく3週間だけ勉強しに行ったんですね。行ったからには不動産も一応見とこうかという話になるじゃないですか。
それで見て、「あれ、なんかマレーシアと違うじゃないか。これだったらいけるんじゃないの」と思ったのがフィリピン不動産投資のきっかけです。
コネもツテも全くなく、胡散臭い人たちもたくさん寄ってきました。わけの分からないローカルのブローカーと仲良くなって連れていってもらったり、いろいろ親切にしてもらったような感じはしたのです。
胡散臭さを感じつつも、いろいろな人間に会い、最終的にまともに仕事してくれそうだなと思えるブローカーと人間関係を構築した後に、ちゃんと買いました。
ブローカーというよりは、その会社のオーナーと会って、じっくり話をしてオーナーの人間性を見極めてから取引しました。一人のブローカーの人間性なんて極端な話、何でもいいんです。
その会社のオーナーが真っ当な発想とか考え方を持っているのであれば、大枠としてその会社は大丈夫なんです。枝葉の社員で決めては駄目です。必ず社長と会うべきです。
| ―確実な所でやってみて、利回りが出るというところで「いけそうだ」と感じたのでしょうか?
今にして思えば、フィリピンは経済が伸びていて、なんだかんだ言っても経済の伸び率はアジアで1位です。僕はかなりいろいろな国に行ってますけれども、やっぱりフィリピンは特殊ですね。そのへんは僕の本だとかDVDを見ていただければ分かると思います。
正常なインフレ下で行う不動産投資というのは、非常に健全にお金が儲かるんです。日本の不動産投資は、デフレとゼロ金利政策が長期間続いていて、頭がみんな麻痺しているんですが、デフレとゼロ金利が前提の不動産投資なので、不動産を使ったお金の稼ぎ方としてはショボいわけです。
不動産投資家も気付いてない人たちが8割でしょうし、有名な大家さんたちでもそういう人たちはいっぱいいます。ただ、僕の人生そのものがショボいので、そのショボいものでも十分生きていけるというのはありがたいことではあるのですが。
フィリピンの場合、正常なインフレ下にあるために、不動産を持っているだけで複利で簡単に回ってしまうんです。フィリピンの賃貸方式も1年契約だったら1年分の家賃をキャッシュので前受けという形でもらえますし、チェックの場合は毎月先付けでチェックをもらってしまうので、滞納というのはあり得るのですけれども、思ったほどありませんでした。
あとは、いわゆる自力救済というオーナーの権限が強いので、ちょっと悪いことをした店子さんがいれば、荷物をぽっと放り出すこともできます。「お前なんか出て行け」と言って勝手に鍵を替えることもできます。簡単に言うと、資産を形成していくうえで非常に有利なことがものすごく多いというのがポイントです。
伸びしろがある新興国の通貨を持つ
今お話したのは、単純に不動産目線からの話ですけれども、これを通貨目線で見てみます。
通貨というのは、その国の経済に由来します。2015年3月13日現在1ドル120円です。
仮にあなたの年収が1,000万円だったとします。1ドル120円でも、1ドル79円の時代でも、年収1,000万で日本で買えるものは変わらないですよね。
ファミリーマートに行ってファミチキを買うときの値段は、消費税率が上がったぐらいで変わりませんよね・・・僕は食べないですけど。
みんな脳みそが完全に弱体化してボケまくっているんですけれども、1ドル79円のときと1ドル120円時とを比べたら、海外からの目線で見たときに、あなたは年収1,000万円もらっていても、外国の人から見たら、円の価値が下がっているから625万円ぐらいまで手取りが目減りしているんです。
大家さんはもうちょっと通貨とか為替の事を勉強したほうがいいと思います。
だから今チャイニーズとか金を持っている人たちが日本の不動産をバンバン買っていっているわけです。そのおかげで僕は自宅を探すのに非常に苦労したというので「このやろう」思っているのですけれども・・・。
逆の立場から見ると、1,000万円が625万円まで目減りしたけど気付かない。なぜならコンビニで買えるペットボトルの値段が一緒だから。ところが外貨を持っていたとしたら、むしろ円安になった分増えていて、お金が水増ししているわけです。
だから外貨で稼ぐという事は非常に重要なんです。
「外貨」と言った時に皆さんは一律でなんとなくドルを思い浮かべます。ドルというのはキーカレンシーで基軸通貨なので、アジャスターとしての価値は高いし強いので、当面はドルを持つのはいいのですけれども、それとともに新興国の通貨を持つというのが非常に大事だと思います。
僕は常々、円、ドル、ペソを持ちましょうというのをお薦めしています。新興国はバーツ、リンギットなどいろいろな通貨がありますが、ペソは非常に不景気に強い通貨なんですね。その三つの通貨を持つことは非常に有利になります。
例えば2年半前、フィリピンに行って1万円を両替すると、5,300ペソ返ってきました。つまり1万円で5,300ペソを買えたんですね。ところが今は3,700ペソです。
要は、単純に円が弱いということもありますが、新興国の経済が伸びるスピードと、日本が頑張って上げるスピードは絶対違いますよね。いずれキャッチアップするんです。
だから伸びしろのあるところの通貨を持っておくというのは、5年先10年先の大きな布石になると思います。ただ、マイナー通貨として持っていると不便も多いので、やはりドルというのをかませておく必要があります。
―バランスが大切だということですね。
そうです。今の状況だと、皆さんの資産も1,000万貯金があったけれども、海外から見たときには600万円ぐらいに減っているんです。
ところが僕の周りの知人のように優秀な方々は、円高のときに早い段階で海外で不動産を購入されている人たちもいるんですね。そういう人たちは何もしていないのに、為替だけでだいぶ儲かっているんですね。1億円を持っていったら、単純に円に戻したら3,000万円以上利益が出ているわけです。
そこでさらに生産活動して、投資活動をして利益を出して、それをまた再投資していたら、ものすごい勢いでお金が増えていきますね。
単純に不動産にはメリットとデメリットがあって、基本投資としては単利ですから、複利の投資というものを絶対に入れたほうがお薦めなのですけれども、それ以前に通貨というところのメリットも出したほうがいいというところで、僕は海外不動産も所有することにしています。
フィリピン不動産投資のポイント
|―海外で不動産投資を実践したいと思っている方は多いと思うのですけれども、フィリピン不動産投資も情報がすごく溢れていて、主にプリセールの物件が多いと思うのですが、何を買っていいかというのはすごく迷われると思うんですけれども、そのあたりについてポイントがあれば教えていただけますか?
基本的なポイントだけをまとめますと、まず皆さんが信じるかどうかというのは別にして、通常の会社員の方々よりは僕は海外に行く機会が多いと思いますので海外の実態に触れることも多く、海外の実情からお話しますと、皆さんが日本で受けられるセミナーとかそういったものは、95%はカスです。ゴミ業者です。
意図的な詐欺か、あるいは知識がなさすぎて結果詐欺になってしまうような業者ばかり、買ったら辛い目にあってしまう残念な業者ばかりです。
―では、残りの5%のいい業者さんをいかに見つけるかというところがポイントだということですね。
そこのポイントについてお話をします。
選んじゃいけないのは、海外不動産の知識が少ない業者です。素人だと、海外不動産投資をちょっと知ってる業者だったら何でも知っているかのように見えてしまうので、その業者の海外不動産の実際の実務の経験を聞きましょう。
ちゃんと売却したことがあるのか、回数は何回あるのか。
ちゃんと内装も手がけることができるのか、ちゃんと客付けもできるのか。
何かトラブルが起きたときはどう対処するのか。
業者を見極めるポイントがありまして、日本で発生し得る不動産賃貸業のトラブルは、すべて海外でも起こります。ケースとしてはよりひどくなります。
それらにどう対応するのかというのを、実績ベースで持っていないところはみんな駄目です。
いわゆるフィリピンで言うプレセール、マレーシアで言うプレビルドと言うのですけれども、3年後に完成しますという物件しか売ったことのない業者は、はっきり言って全員ゴミです。そんなところから買うだけ無駄です。やめましょう。トラブルになります。
3年後に建つわけだから、実績はゼロですよね。そういう業者は大概どこかと提携していると言うのですけれども、「じゃあ提携先の人間を連れてきて実績について語れや」という話です。
―そこは重要ですね。
あとは、ちゃんと税金を知っているかどうか。その国の税金のことを知らない人から買っても駄目です。「みんな払ってないから払わなくて大丈夫ですよ」っていうのは、脱税のススメかという話ですよね。脱税を薦めるような業者から買うのやめましょう。
もう一つ、日本の不動産の知識の足りない業者から買ってはいけません。海外の不動産取引のルールは日本とは若干違います。同じものも多いですけれども、違うものも多いので、それを日本の不動産賃貸業での言い方に例えられない業者は駄目です。みなさん理解できないですよね。
例えば、ディード・オブ・アブソリュート・セールとか、CTSコントラクト・トゥ・セールと言うのですけれども、CTSとかBIS、RAとか言われても何のことか分からないじゃないですか。だからサインしちゃうんですよ。
でもそれを日本語で「これは単なる売買契約書です」とか、「所有権移転は2年後になっちゃいますよ」とか、いろいろなものをちゃんと日本語で説明できなかったら駄目なんですよ。
これはデベロッパーごとにもルールが違うので、それをちゃんと日本語訳するには、日本の不動産の知識がないと駄目です。
もう一つ、先ほども言ったように、プレ・セーリングばかり売っているような業者から買うのやめましょう。
この三つは最低限大事です。当然現地には行ったほうがいいですね。
プレ・セーリングって不動産というよりも、金融商品に近い性質があります。ヒト、モノ、カネ、投資するには、それぞれのメリットとデメリットがありますから。
これを混同したら駄目です。現物の不動産、リアルアセットを金融商品のように売る業者も駄目です。金融商品と絡めて売るのも駄目です。アービトラージとかいろいろな金融商品を買ってもらって、その配当で月々の支払いをしましょうなんていうのは、マレーシア不動産が流行っているときは、マレーシアの不動産をそういうスキームでたくさん売るんですね。そして危なくなると閉めるんです。
そして次、フィリピンに来ています。フィリピンが駄目になったらまた次の国に行ってやります。そういうふうにやっている業者なので、皆さんが購入した数年後には、業者はその国にいないかもしれません。
ですので、最低でも
実績があるところ、
プレ・セーリングばかり売っていないところ、
日本の不動産を知っているところ、
海外不動産の実務を実績ベースで語れるところ、
ここが大事です。最低限そんな感じですね。
―その三つをポイントに情報を収集して選んでいただくのが大事だということですね。
売るほうも悪いですけど、買うほうも悪いですね。
リテラシーが低いというか勉強不足すぎるというか・・・勉強しすぎても、頭でっかちになっちゃうので駄目なんですけど。腹をくくるという事は、投資については大事なんじゃないかなという気がします。
これから大家を始められる方へ
|―これから大家を始められる方が結構多いと思いますが、不動産投資をどういう形で進めていったらいいのでしょうか?
他の人と同じことを言ってもつまらないと思うので、エッジが効くかどう分かりませんが、ちょっと違った角度で言うと、さっさと法人で進めましょうということです。
家賃年収3,000万を超えたら法人にしたほうがいいという話とか、いろいろありますよね。でも、そんなものは全部無視です。くそくらえです。早いうちから法人で練習しましょう。法人のほうが圧倒的に税金の面でもメリットがありますし、個人で副収入を増やすのは良くないです。
個人の課税所得は2,000万未満にとどめましょう。サラリーマンの年収と不動産から上がってくる家賃所得の合計課税所得が2000万円を超えないようにすることが、今後は大きなターニングポイントになります。
これは日本の政府が狙っている税制だとか、今後の仕組みに大きくかかわってきますので、そこら辺をお知りになりたい方は、僕のセミナーにお越しいただいたり、僕とかがたまに発信する情報を見ていただければいいかなと思います。
そこを説明すると軽く24時間は過ぎてしまうのでやめておきますけれども、そこは大きなポイントでして、規模を大きくするなら法人でやりましょう。
そして、これから大家さんになる人たちにお願いしたいのは、今の大家さんの風潮ってはっきり一言で言うと大っ嫌いなんですよね。大家さんを敵に回しちゃうようなことを言いますけれども、バカが多いんです。僕を含めて。なんでかと言うと、サラリーマンをやりながら大家さんを兼業でやるというのは、すごく素晴らしいし賢いことなんです。
ところが、いつの間にか残念な方向に行くんですね。不動産は固定資産税も発生するリアルアセットですから、これからどんどん課税されていきます。要は、いろいろなインフレだとかデフレだとか後は日本の通貨の動向、為替だとか、ありとあらゆるものに対して関係してくるんです。
それなのに、一部の狭い視野の部分だけをフォーカスしすぎて大事なもの、大局を見落としているような人たちも多いし、あとは大家さんのノウハウ本がいっぱいあるおかげで、小手先のテクニックばかりで真心がない大家さんが多いんです。僕はそういうのを引っくるめて、「相当残念だな」と思っています。
大家さんって、お金が稼げる稼げないっていうのはもちろん大事です。
きれい事は言いませんから、金を稼ぐためにやっているんですけれども、やっぱり自分の借金を入居者さんが払ってくれるということに感謝しないと嘘ですよね。そこに対して小手先のテクニックとかに走りすぎてしまうのは、なんかちょっと違うんじゃないかなと僕は思っています。
最近聞くところによると、小手先のテクニックに走っちゃったりだとか、自分の規模をでかくすることだけに集中して、借金自慢をしたりとか、もうちょっと他のところを勉強したほうがいいんじゃないのみたいな人たちがかなり多いです。
やはりバランスよく勉強しないと駄目ですね。株式投資やってりゃいいってもんじゃないんです。いろいろな見識を広めてもらいたいんですね。なんでかと言うと、あなたが買ったアパートで、人間が生活をつくるわけです。見識を広めるということは人間力を高めることであって、いい人間になってもらうことですね。
僕はなれないので、人に嫌われたり敵に回してしまうようなことも言ってしまうんですが、多分他の大家さんは言わないと思うので、自分ぐらいいいかなという都合のいいことを考えて言わせてもらいますと、「いいやつになれよ」という感じですね。
女性の方もいらっしゃいますけど、男前な大家さんになったらいいんじゃないかと思います。腹くくってやれやという話ですね。
すぐリフォームして大工さんにケツ回すだとか、物件を買うときに仲介の御者さんに「シミュレーションを出してください」とか寝ぼけたことを言うノータリンな初心者がいますけれども、そういうのにはならないでほしいですね。
自分の買い物なんだから自分で計算してくれという話です。それが一番勉強になるのですから。自分のケツは自分で拭く、基本は自力で頑張る。
人のことは参考にしたり教えを請うことはあっても、頼るなということですね。勉強するんだったら教えを請いましょう。僕がそうしているので。僕はカスみたいなレベルなので、大先輩のすごい人たちがいっぱいいるので教えを請いに行っているんです。頭を下げるんですね。頼りすぎず、自力で筋力を付けろという感じですね。
不動産投資はスプリング
| ―最後に二つ質問です。中島さんにとって不動産投資とはなんでしょうか?
ベースですね。月々の家賃で100万円ぐらいの収入があれば、その後で何かビジネスをやったとしたら、100万円というショックアブソーバーがあるじゃないですか。だから、なかなか生身に届かないですよね。
あとは現物に投資しているというのは、非常に価値があること なのです。ペーパーマネーと現物の違いを、よくよく理解しておく必要があります。
―現物を持ってベースをしっかり作るということですね。
そうです。不動産投資はスプリングです。
最後に
| ―最後に、今頑張っている大家さんや、これから始めたいと思っている方へのメッセージをお願いします。
腹くくってやろうぜっていう感じですね。
悪い意味で不動産馬鹿になったら、僕的には駄目ですね。気持ち悪い人たちが多いんです。
なんか成金みたいな感じになってしまう人が多くて、こんないい(クルマに)乗ってますとか、単なる自慢話になってしまっていて、それがブランディングになるのかよく分からないのですけれども、自分のステータスを自慢するようなクソつまらない人間にはならないほうが、もっと楽しく生きられるんじゃないかなぁ。
目的と手段という話じゃないですけれども、そもそも不動産投資をやるときに一つちゃんと理解しておいていただきたいのは、自分が40代、50代のまあまあのおっさんかおばさんになったときに、本当に送ってみたい生活というものを、金だとかリミッターとかを極力外せるだけ外して、自分の理想の生活をまず思い浮かべてもらいたい。
そこから逆算して進む方向を腹くくって決めましょう。いろいろとブレるのも勝手にブレればいいですけれども、一番いいのは、一番良さそうな道を見つけて、そこにフォーカスして突き進むということが一番大事です。
不動産って積極的な方法に思えるんですけど間違いです。不動産はメッチャディフェンシブで保守的な行動です。
つまり不動産投資というのは、資産形成ではなく、どちらかというと資産保守なのです。
そこを理解していただければうまくいくんじゃないかと思います。嫌なやつにならないでほしいです。いいやつになってほしいですね。
※注:この記事の内容は2015年3月の当時のものです。