就学相談、受けるべき?|時期・流れと「誰が決めるか」
「就学相談を受けてみませんか」
園の先生や健診で、そう言われた日のことを覚えている方も多いと思います。
受けたら、どこかに決められてしまうのでは。
相談に行ったら、この子に「ラベル」が付くのでは。
迷っているうちに、申し込みの時期が過ぎてしまいそうで、焦っていませんか。
この記事では、就学相談がどんなものか、いつ・どんな流れで進むのか、そして最後に誰が決めるのかを、文部科学省と自治体の案内をもとにまとめました。
就学相談とは
就学相談は、小学校に入る前に、お子さんに合った学びの場(就学先)を、保護者と教育委員会が一緒に考える場です。
文部科学省の手引では、就学相談は、市区町村の教育委員会が本人と保護者の意見を聞き、意向を確かめるための場として書かれています。保護者が考える時間を十分にとれるようにすることも求めています。
申し込むのは、基本的に保護者です(東京都の案内)。
受けないといけないの?
ここは、住んでいる市区町村によって違います。
- 東京都の案内では、就学相談をすすめられて迷っている人に「必要な支援を一緒に考える機会として、ぜひ一度相談を」と答えていますが、受けなければならないとは書いていません
- 浜松市では、特別支援学級や特別支援学校への入学を考える場合は、就学先相談を受ける必要があり、通常の学級だけを希望する場合は申し込みは不要、と案内しています
「受けるかどうか」で迷ったら、まずお住まいの市区町村の「就学相談」のページを見てみてください。申し込みの時期や、受けたほうがいい場合が書いてあります。
いつから・いつまで?
多くの自治体で、年長の春〜秋に進みます。早いところは、年中の終わりに申し込みが始まります。
| 自治体 | 申し込み | 相談・見学など | 決まる時期 |
|---|---|---|---|
| 東京都(標準的な流れ) | 年長の4〜6月 | 6〜10月 | 11〜1月 |
| 川口市 | 6月〜7月中旬(園から) | 7月末〜8月末に面談、9〜10月に体験入学 | 10月末に就学支援委員会 |
| 文京区 | ─ | 面談は5月上旬〜10月末 | 1月に就学通知 |
| 浜松市 | 入学前年の3月〜5月 | ─ | ─ |
東京都の案内にも「区市町村によって多少違う」とあります。申し込みの締め切りがある自治体もあるので、時期だけは早めに確かめておくと安心です。
どんな流れで進む?
江戸川区の案内では、おおよそ次の流れです。
- 申し込み
- 面談 ── ふだんの様子と、保護者の希望を聞き取ります
- 行動観察 ── 1人のときと、集団のときの様子を見ます
- 学校・学級の見学や体験
- 就学支援委員会で検討 ── 医学・心理・教育の専門家が話し合います
- 結果(判断)を保護者に連絡
- 保護者が理解し、納得したうえで就学先を決める(または、相談を続ける)
川口市の案内では、委員会に保護者は出席せず、委員会は「どの学びの場が望ましいか」を意見として出す、と書かれています。結果は1〜2週間後に電話で伝えられ、そこで保護者の意向をあらためて確かめます。
最後に決めるのは誰?
ここがいちばん大事なところです。
2013年(平成25年)に国の仕組みが変わり、それまでの「基準に当てはまる子は特別支援学校に原則として就学する」という決め方は改められました。
いまは、本人と保護者の意見を最大限尊重し、話し合って合意すること(合意形成)を原則にしたうえで、最終的には市区町村の教育委員会が決める、とされています。
文部科学省の手引でも、本人と保護者の意向は「可能な限り尊重される」ことを保護者に伝えるよう書かれています。
つまり、就学相談は「決められる場」ではなく、「一緒に決める場」です。
親として「こうしてほしい」「ここが心配」という思いは、そのまま伝えて大丈夫です。
結果に納得できないときは
委員会の判断と、親の思いが違うこともあります。そのときも、できることはあります。
- 相談を続けることができます(江戸川区は選択肢として「継続相談」を挙げています)
- 文部科学省の手引は、合意できないときのために、意見を調整する手順をあらかじめ決めて保護者に示しておくことが望ましいとしています。一定期間の体験入学のあとで、もう一度検討する方法も挙げています
- 入学のときに合意できていない場合も、そのあとで就学先が変わりうることを説明する、とされています
そして、もう1つ。
手引には「就学時に決定した学校や学びの場は、固定したものではなく」とあります。入学後も、子どもの成長や必要な支援に合わせて、学びの場を見直すことができます。
東京都の案内でも、6年間の学びの場が入学のときにすべて決まるわけではなく、まずは在籍している学校の先生に相談してほしい、と書かれています。
「いまの判断が、この先ずっと続く」わけではありません。
相談の内容は、小学校に伝わるの?
気になる方が多いところです。
- 文京区では、就学支援ファイルを作り、保護者の同意を得て、教育委員会から就学先の学校に届ける、と案内しています。希望すれば、保護者が学校に「配慮してほしいこと」を伝えるシートを出すこともできます
- 文部科学省の手引では、入学前に必要な支援をまとめて就学先の学校に引き継ぐことと、面談の担当者には守秘義務があることを保護者に伝えるよう書かれています
どこまで・どの形で伝わるのかは自治体によって違います。気になるときは、面談で「この内容は、学校にどう伝わりますか」と聞いてみてください。
準備しておくとよいもの
自治体の案内に挙がっているものの例です(必要なものは自治体によって違います)。
- 母子手帳
- これまでに受けた発達検査の結果(川口市は「2年以内に受けたもの・なくても申し込み可」)
- 持っていれば、手帳や医師の診断書・診察の記録
あわせて、次の2つをメモにして持っていくのがおすすめです。
- ふだんの様子:家でできていること、困っていること、得意なこと
- 親の思い:どんな学校生活を送ってほしいか、何が心配か
面談の場では緊張して、思っていたことの半分も言えなかった、ということがよくあります。紙に書いておけば、それを見せるだけでも伝わります。
「行かなきゃよかった」と思わないために
就学相談のあとに、「ショックだった」「行かなきゃよかった」と感じる方もいます。
思っていたのと違う結果を聞くのは、つらいことです。
でも、ここまで見てきたように、就学相談は親の意見を聞き、一緒に考えるための場です。
結果は「決定」ではなく、話し合いのための材料の1つ。納得できなければ、相談を続けることも、入学後に見直すこともできます。
ひとりで抱えずに、わからないことはその場で聞いてください。
相談の前に、気持ちを整理したいときは
「受けるかどうか、まだ決められない」
「検査の結果をどう伝えたらいいかわからない」
そんなときは、相談に行く前に、誰かと一緒に整理してみるのも1つの方法です。
Oya-schoolでは、学校でWISC(知能検査)を担当してきた公認心理師が、ご家庭の様子やお手元の検査結果を伺いながら、就学に向けて家でできることを一緒に考えています。
▶ まずは30分、気になっていることを話してみる(オンライン・無料)
https://oya-school.jp/soudan
▶ 検査の結果(報告書)を一緒に読む(子育てカウンセリング・約60分)
https://oya-school.jp/counseling#kensa
※個別相談・カウンセリングは、医療行為(診断・治療)ではありません。就学先を決めるのは市区町村の教育委員会と保護者の話し合いで、Oya-schoolが就学先を判断することはありません。
参考資料
(すべて 2026-10-24 に閲覧)
- 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月)第1・2編 ── 就学相談は保護者等の意見聴取・意向確認の場/意向は可能な限り尊重されることを伝える/最終的には市区町村教育委員会が決定/合意できないときの調整手順・体験入学後の再検討/学びの場は固定したものではない/入学前の支援の引継ぎと守秘義務
https://www.mext.go.jp/content/20210629-mxt_tokubetu01-000016487_01.pdf - 文部科学省「学校教育法施行令の一部改正について(通知)」平成25年9月1日 25文科初第655号 ── 従来の「原則として特別支援学校に就学」という仕組みを改め、本人・保護者の意見を最大限尊重・合意形成を原則に、最終的には市町村教育委員会が決定
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1339311.htm - 学校教育法施行令 第5条・第18条の2(e-Gov法令検索)── 就学先の判断と、保護者・専門家からの意見聴取
https://laws.e-gov.go.jp/law/328CO0000000340 - 東京都教育委員会「保護者のみなさまへ 就学相談Q&A/学びの場(就学先)の決定について」── 保護者が申し込む/標準的な時期(年長4〜6月申込・6〜10月相談・11〜1月決定)/6年間の学びの場が入学時にすべて決まるわけではない
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/leaflet_78 - 文京区「就学相談の手順」── 面談は5月上旬〜10月末/1月に就学通知/就学支援ファイルを保護者の同意を得て就学先へ/持ち物(検査結果など)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/documents/2093/tejyun.pdf - 浜松市「就学先相談」── 特別支援学級・特別支援学校への入学を考える場合は相談が必要/通常の学級のみ希望なら申込み不要/申込み時期
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/sogo/syugakusodan.html - 川口市「川口市就学相談[新小学校1年生]の流れ」(R8)── 申込み・面談・体験入学・就学支援委員会の時期/委員会は意見を出し、保護者の意向を最大限尊重して教育委員会が決定/持ち物(母子手帳・2年以内の発達検査結果など)
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/198/nagare.pdf - 江戸川区「江戸川区の就学相談(小学校知的障害の例)」── 申込み→面談→行動観察→見学・体験→就学支援委員会→保護者へ連絡→保護者の理解と納得の上で決定/継続相談
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/8765/r8shugakusodan.pdf